小野高漢詩校歌

創立前史  第2章 忘れ得ぬ夢の続き  その4

実業学校の編成

 創設時の小野新町実業学校がどのようなものであったのか、資料をもとにまずその編成から見てみよう。

編成修業年限

第一部及び第二部を置き、更に各部を男子部と女子部に分ち、第一部男子部は中等科、第一部女子部並に第二部各部を初等科・中等科・高等科とし、更に研究せんとする者の為に専攻科を置く。而して修業年限を左の如く定む(生徒定員は男子部女子部各100名)。

 

第一部(通年)

男子部・中等科(2ヶ年)、

女子部・初等科(2ヶ年)、中等科(2ヶ年)、高等科(2ヶ年)

第二部

男子部・初等科(2ヶ年)、中等科(2ヶ年)、高等科(3ヶ年)

女子部・初等科(2ヶ年)、中等科(2ヶ年)、高等科(2ヶ年)、

専攻科(2ヶ年)

 

経費

 

昭和8年度予算総額 2,806円 生徒より徴収する授業料は、月額金50銭とするも、第二部生は之を徴収せず。

 

 尋常小学校の6年から高等科2年を卒業し実業学校の2年を修めると、現在の高校1年を終了した年齢となる。まさに「男子中等教育」の最初の一歩が始まった、画期的な学校であり、その後の歴史をみれば、現在の小野高校の母体となったと言っても過言ではない。そういう意味では、昭和8年4月1日という日も、小野高校の歴史上とても重要な日と言える。 

 実際の受講生は第一部が男子計36、女子計40、第二部が受講生は男子計111、女子計40で、第一部・第二部を合計すると男子は146名、女子が80名、計226名の生徒数だった。

 中学校の授業料の10分の1で、かつ地元で通うことのできる実業学校は、優秀ではあるが必ずしも経済的に恵まれていない子供たちにとって、魅力的な「中等学校」だったのである。

実業学校の職員

大木喜代之進 校長

 

 職員は創設当初、専任教諭3名、兼任教諭5名という体制であった。校長は小野新町尋常高等小学校第13代校長の大木喜代之進が小学校と兼任して務めた。

 大木校長は、昭和5年4月から昭和10年3月までの5年間にわたり、小野新町尋常高等小学校の校長を務めた。そのため実業学校の設立から2年間、小学校との兼任校長を務めた事になる。


職員 昭和8年4月現在

 

職名        資格      専任兼任の別    氏名

助教諭兼校長  小学校本科正教員   兼任     大木喜代之進

教諭              教諭                        専任             佐久間 善寿

教諭                  教諭                        専任             金田長次郎

教諭                  教諭                        専任             佐久間ミキ

助教諭               小学校本科正教員   兼任             中野市次

助教諭               小学校本科正教員   兼任             川田善造

助教諭               小学校本科正教員   兼任             郡司義隆

助教諭               小学校本科正教員   兼任           神原末蔵

 

実業学校の施設

 実業学校の設備は次の通りであった。

 

教室:普通教室3 60坪、

裁縫室:1 30坪、家事室1 24坪

実習地:学校実習地1町4反19歩(水田2反9歩、畑1反10歩、山林1町1反歩)、

家庭実習地:2町1反歩(水田1町5反歩、畑6反歩)、

実験実習用具:農業実習用具 308、裁縫用具 87、家事用具 206、其他 若干

図書 140

実習建物:農具室 4坪、肥料舎 2坪、農産製造室 6坪、鶏舎 6坪、豚舎 2坪、

温床 1.5坪 肥溜 7、家庭実習用標札 70

 

小野新町実業学校が併設された昭和8年(1933年)当時の小野新町尋常高等小学校校舎

さらなる高みへ

 確かなる中等学校の一歩を踏み出した小野新町方部であったが、まだ校舎も尋常高等小学校に併設であり、職員もその半数以上は小学校との兼任であったため、本格的な中等学校への道はまだ半ばであった。大正10年(1921年)に熱く燃え上がった中学校への想いは、現実的に実業学校の建設へとシフトし、そして、そこまでたどり着くまでには、まだ9年の歳月を必要とした。地域にとっての「忘れ得ぬ夢」は、まだ続いていた。

(第2章 忘れ得ぬ夢のつづき  終り)

 

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